機能不全家族とは?アダルトチルドレンを生み出す家庭の特徴について

機能不全家族とは

機能不全家族とは、家庭内で弱い立場にある人に対して、身体的または精神的ダメージを与える機会が日常的に存在している、家族間の役割が曖昧になって本来の健全な家族で成しえているはずの家族のそれぞれの役割ができてない不完全、機能不全な家庭のことを指します。

「機能不全家族」で生まれ育つと、大人になってから「生きづらさ、虚無感、違和感、自信のなさ・・」などを抱えてしまうアダルトチルドレンになってしまう場合も多々あり、「機能不全家族」と「アダルトチルドレン」は深く関係しています。また、アダルトチルドレンを生み出す家庭が機能不全家族とも言われております。

普通の家族にあるような、団欒し、語り合い、お互いが支え合うというといったことがなかったり、虐待、無関心、身体的・精神的苦痛、生活が困難、家族に秘密があるなど様々な問題があり、具体的には以下のような特徴があります。

機能不全家族に見られる特徴

1. 親が家庭に無関心/過干渉
機能不全家族に共通する最も顕著な特徴は「親の家庭(子供)との距離感が適切ではない」というものです。距離感が極端である代表例が、子供に悪影響を及ぼす毒親の存在です。
毒親は、子供や家庭を「自分の持ち物・私物」といった程度に捉えています。そのため新しい洋服や家具に飽きたかのように、子供に対して徹底して無関心である毒親も少なくありません。

一方、子供のすべてに干渉しようとする毒親も居ます。彼らは、自分の価値観や好みを押し付けることを「当然だ」と考えています。「親が叶えられなかった夢をかわりに叶えること」「親よりも優秀(もしくは同等)の成績を残すこと」など過剰な期待を子供に寄せます。

2.親子が互いに依存し合う共依存関係
機能不全家族には、共依存が多く見られます。親の過干渉により子供は自分で判断せず、すべて親の言う通りにするようになります。親も子供に依存し「あなたにはまだ早い」「あなたには無理」などと自立させないようになります。このようになると、親子が互いに依存しあう共依存の関係になります。
一見すると、子供思いの親と素直で従順な子供に見えますが、子供に過剰に執着する親と自分で判断できない子供の場合もあります。

3. 子供への愛情が条件付き
機能不全家族の親たちの中で、「子供を愛している」「ちゃんとかわいがっている」という人は少なくありません。しかしその愛情が「自分の期待に叶っている場合」「自分好みの子供に育っている場合」などの「条件付き」であることに気づいている人はほぼ居ないというのが問題です。

少しでも自分の気に入らない部分があったり、子供が自分で選んだ道を進もうとすると、親は一気に子供に対する評価を下げ、冷淡な態度を取ったり、様々な虐待を行います。 子供は「親からの愛情を受けなくては」と親の顔色を常に伺うことになり、自分の価値観や好き嫌い等がわからなくなっていくのです。

4. 父親もしくは母親が自分の役割を放棄している
「機能不全家族は片親である」と思われがちなのですが、実際には両親が揃っているケースも少なくありません。しかし父親もしくは母親がその役割を放棄しているケースが多く見られます。

家に居る時間が非常に短い、家族の語らいに参加しない、両親が不和である、浮気や不倫問題が生じている等で「父親(もしくは母親)」という役割が存在しない機能不全家族の場合、残された父親もしくは母親が、子供に対してその役割を押し付けようとするのです。
例えば「長男なのだから将来は大黒柱としてしっかりしてほしい」と父親役を押し付けたり、「女なのだから弟妹の面倒を見るべきだ/家事をするべきだ」と母親役を押し付けるケースも珍しくありません。

5. 子供への賞賛が無い
機能不全家族は、親の子供に対する賞賛(褒め言葉)が非常に少ないという傾向を見せます。 親は子供の「できること」よりも「できないこと」にばかり着目しがちで、良い点を伸ばそうとはしません。 また期待が過剰な場合、勉強や作業等で一定の結果を出しても「この程度か」「もっとやれるはずだ」と子供の更なる努力ばかりを期待します。

子供達は親の期待に応えようと頑張り続けてストレスを溜め「燃料切れ」(燃え尽き)を起こしたり、「期待に答えられないのだから」と勉強や運動等にまったくやる気を見せなくなっていきます。何もかもがどうでもいいと感じてしまうアダルトチルドレンを生み出してしまうのではないでしょうか。

6.兄弟姉妹・同年代の子供との比較が多い
賞賛の言葉のかわりにあるのが、兄弟姉妹間や同年齢の子供との比較です。
「妹はできるのに、なぜできない」
「××ちゃんみたいだったら良かったのに」

毒親はこのような比較によって子供を貶めたり、兄弟同士の競争心(不和)を煽ることで親自身の不安や不快感を解消しようとします。
この他、兄弟姉妹のいずれか一人を優遇し、他の兄弟をないがしろにするケースもよく見られるようです。

7. 物理的・精神的暴力や虐待がある
殴る・蹴るといった物理的暴力はもちろんですが、目の前で物を壊す、物を投げる、殴りつけるフリをするといった行為も物理的虐待に含まれます。

また、精神的暴力には、子供の身体的特徴(背が低い、目が小さい等)をあげつらったり、「産まなければよかった」「出ていけばいいのに」といった悪口・暴言が浴びせるなどがあります。「気に入らないから」と存在を無視するといった対応も含まれます。

食事・入浴・着替えといった行為の一切も無視するとネグレクト(育児放棄)として児童相談所管轄となりますが、「世間体が悪いから」ということでこれらの対応は行いつつも「言葉は一切かけない」という対応を取る親も多いです。

8. 親の機嫌を気にして家庭が緊張状態にある
一時的に親の機嫌が良い時があったり、和やかな時間があったとしても、機能不全家族では常に子どもたちは緊張しつづけることになります。いつ親が怒鳴りだす(無視をする)かがわかりませんし、自分達のどの行動が親の気に入るものなのかもわからないからです。

機能不全家族の親の特徴について

親の役割ができていない場合

親としての役割ができていないために、子どもらしく振る舞うことや、家族という社会から健全なコミュニケーションや人間関係を学ぶことができません。

◇子どもが親の愚痴や相談を聞いたりするカウンセリング代わりになったりもする。
◇子どもに対しての虐待やネグレクト(育児放棄)する。
◇生計を立てることができず貧困に陥っている。
◇親が未熟が故に家族同士の争いが絶えない。
◇親が未熟が故に子どもが親に対して気づかいをしている。

親としての権力をフル活用している場合

毒親が設ける家庭内のルールは常に流動的で矛盾が多く、その時の気分によって話が大きく変わります。そのため子どもたちが良かれと思ってしたことも、翌日には制裁対象となることがあるのです。親の権力を乱用したり、思い通りにならないと機嫌を損ねたりします。

◇家庭内での独自なルールを設定する。
◇子どもを思い通りにコントロールする。
◇子どもに親が優位の条件やルールを押し付ける。
◇コミュニケーションがダブルバインド状態で、子どもの混乱を招く。

このような経験の積み重ねによって、子供たちは家庭内では常に緊張し息を潜め「親からの制裁を受けないこと」だけを重視するようになっていきます。

親自身が問題を抱えている場合

親自身に様々な問題があるケースも少なくありません。

◇親がアルコール依存である、ギャンブル依存症である、生活困窮状態にあるといったケース
◇親が人格障害、精神病を抱えている。など

こういった家庭では、子どもたちはカサンドラ症候群に陥りやすいと言われております。また、子どもは自分の親が問題を抱えているということが理解できていない場合もあります。親に寄り添うあまりに、身体的・精神的ダメージを受けたり、カサンドラ症候群に陥りやすくなります。

 

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大人になってからの悪影響について

過去に家庭環境が影響して辛い思いをしてきたことに加えて、大人になっても過去の家庭環境での不適切なコミュニケーションや親からの洗脳のせいで、自己肯定感が低いことや世間とのずれや不安感、違和感なども感じているので、生きづらいと考えられております。

機能不全家族で生まれ育ってしまうと、「安心感を得る、励まし合う、お互いを認め合う」などといった健全な社会性が身につくこともできないので、社会に出ても不安や恐怖を拭えなかったりします。また、フラッシュバック・トラウマや嫌な記憶にも悩まされてしまいます。

せっかく親元を離れても、その延長線上で辛い人生を選択しがちです。理由は、普通の感覚や幸せがどういうことなのか想像できなかったり、自分には縁がないと思い込んでしまうためです。

大人になってからもメンタル面に様々な悪影響があり、なかなか一人では立ち直ることが難しいと思われますので、是非カウンセリング時にご相談ください。

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