ワークバランスを重視しているわけでもなく、仕事自体は好きなのに、
なぜか出世すること、責任を負うこと、注目されることに嫌悪感を抱いてしまったり、そういった状況を避けるような行動をしてしまうことはありませんか?
自分でもよく分からないのにそういう行動をしてしまうのは、性格や考え方の問題ではなく「禁止令」というものに縛られている可能性が高いと思われます。
無意識のうちに敢えてできない人の立場を演じてしまう、何をやっても中途半端で成功できないなど、自分自身でもよく分からないのにそのような行動をしてしまうので苦しんでいる方も多いかもしれません。禁止令に縛られている人の心理や行動を紹介していきます。
1.禁止令とは何か?出世したくない、責任を負いたくない気持ちに駆り立てられる原因
上記でも記載しましたが、仕事のパフォーマンスに影響を及ぼす禁止令に縛られている人の場合、
自分でもよく分からないけれど、人の上に立つのが嫌だったり、実力を発揮できない、できない人を演じてしまうといった行動をとってしまいます。
また、自分で敢えて失敗してしまったり、出世したとたん実力を発揮できなくなったりなどといったこともあります。
禁止令自体は他にもたくさんの種類があります。自分にしかないものもあるので
禁止令って何?
禁止令は交流分析の心理学の一つで、子どもの頃に親や養育者に愛されたいと思うがために、親の意図通りの思考や行動をしてしまうことから始まると言われています。
例えば、子どもが成功したときは無関心なのに、失敗したときは優しくされたり励まされたりすると、親の愛情がほしいために成功してはいけないと思い込むために、何をやっても何度やっても失敗するなど自己壊滅的な人生を送ってしまうと言われています。
また、意見を否定されたり、自己主張が許されない環境で育つ、褒められない子どもは、常に目立たないようにと自分に制裁を課しているので、人の上に立つ立場になると力が発揮できないと言われています。
上記は一部の例ですが、禁止令は、子どもが親の愛を必死で得ようとする生存本能によって、自分で思考や行動に制限をかけてしまっているのです。
※禁止令は、1950年代にエリック・バーンという精神科医によって提唱され、その後グールディング夫妻(1979)によって12の禁止令が広く知られるようになった交流分析の心理学の一つです。
2.禁止令の影響を受けている人の特徴や行動について
禁止令に縛られている人に見られる特徴
- 出世や昇進したくないと思ってしまう
- できない人の立場をとってしまう
- 注目されることが嫌、目立たないと安心
- 実力を発揮できない
- 責任ある立場や上に立つことが苦手
- 問題ごとやめんどくさいことに巻き込まれたくない
- 自分が成功するのは場違いだと思ってしまう
- 自分の成功を他の人に譲ってしまう
上記のような行動に駆り立てられてしまう原因は、以下の禁止令と言われています。
- 重要であるな
- 成功するな
- 成長するな
これに気づくことがとても重要で、長年の苦しみの原因が明らかになっていきます。
成功するな
「成功するな」という、禁止令があると、自分は成功してはいけない、成功は相応しくないと無意識に思い込んでしまっているために、何をやっても成功できないと言われています。
以下のように感じたり思ってしまうことはございませんか?
- 自分が成功するなんて相応しくないと思ってしまう」
- 自分の成功を他の人に譲ってしまう
- 成功すると嫌われる、妬まれる
- 成功する直前で投げ出してしまう
幼少期に、親から何かを成し遂げたり上手くいったには褒められずに、逆に失敗した時に励まされたり慰められたりしたり、親とゲームなどをしていて子どもが勝った途端に遊んでもらえなくなったというような経験をすることで、
「成功しなければかまってもらえる」
「成功してはいけない」
と思い込み課してしまうのが、この「成功するな」という禁止令です。
また、完璧主義の親に絶えず批判されて育ったり、「お前は肝心なところでダメだね」と言われたりすることで、
「自分は成功なんてできない人間なんだ」
と、この禁止令を課してしまうこともあります。
この禁止令を持つ人は、自己破壊的な人生を送ってしまう可能性があります。
なぜなら、心の奥で成功することは良くないこと、成功してはいけない、と思い込んでいるため、つねに自らの成功を破壊してしまうのです。
入試の時に体調を崩したり名前を書き忘れてしまったりする人や、思わぬスキャンダルで地位を失ったり人生を棒に振ってしまう人、何度も起業・倒産を繰り返してしまう人などは、「成功するな」の影響を受けているのかもしれません。
重要であるな
「重要であるな」という、禁止令があると、重要に扱われることに(1番になる、役職、昇進など)に居心地の悪さを感じてしまうために、自分でそのような状況やポジションに就かないようにしたり、自分を軽視して目立たないように生きようとします。
子どもは一番になってはいけないと思い込む、注目を浴びるのも嫌うようになる、大人になってからはリーダー的なポジションでは力を発揮できなくなるといったことがあります。
あなたは
「自分に自信がない」
「ちょっとしたことでもすぐに落ち込んでしまう」
「目立つことに嫌悪感を抱く」
ことはありませんか。
これは、子どもの頃に、親から「お前はダメだ」などと否定ばかりされたり、怒られてばかりいた人、親に相手にされなかったり、自分の意見を聞いてもらえず自己主張が許されなかった人など、
子どもを軽視する親からのメッセージによって、子どもは自分は蔑ろに扱われる存在だと思い込み、賞賛を浴びたり大切にされる存在になるべきではないなどといった「重要になってはいけない」と禁止令を課してしまいます。
また、テストでよい点を取ったり表彰されたりしたときに親から褒めて褒めてもらえないことが多かったり、自分以外の兄弟姉妹ばかりかわいがられていた人も、自分は賞賛を浴びたり、認められる存在ではないと思い込んでしまうので、「自分は重要であってはいけないんだ」と禁止令を課してしまうそうです。
この禁止令を持つ人は、常に目立たないように心がけ、責任を負うのを嫌う傾向にあります。自分が重要なポジションについた途端に実力が発揮できなくなってしまう人も、この禁止令の影響を受けている可能性があります。
逆に、重要でないと生きている価値がないと判断することも
一方で、自信がありすぎるような人や、つねに自分のすごさをアピールするような人も、この禁止令の影響を受けている可能性があります。
「自分は重要ではない」という内的感覚に対して、「重要であるな」という絶望的決断ではなく「重要でなければ生きている価値はない」という反抗的決断をした人にそのような傾向があります。
そうした人は、学業や仕事である程度の成果を出せることがありますが、つねに心の休まることがなく、ストレスを感じやすいという面では、絶望的決断を下した人と同じです。
つねに劣等感に悩む人、その劣等感を払拭するためにつねに「重要であろう」と自分を追い立て続けている人はいずれも「重要であるな」の影響を受けているのかもしれません。
成長するな
「成長するな」という禁止令を持つ人は、「子どものままでいるために、何もできないほうがいい、自分はできないから周りに従おう」と考えるようになります。その結果、無意識にできない人の立場をとったり、自主性がなく依頼心が強い人になる傾向があります。
あなたは
「失敗やうっかりミス、遅刻を繰り返すなど”できない人”の立場をとってしまう」
「できないことや失敗をうれしそうに話したり笑ってごまかす」
「責任ある立場を任されるのは苦手」
ということはありませんか。
「成長するな」は、「お前はまだ小さいからまだ、そんなことは出来ないよ」「全部お母(父)さんがやってあげるわよ」と親がなんでもやってしまったり、甘やかされて過保護・過干渉に育てられたりした人が持ちやすい禁止令です。
また、自立した行動をとったり、自分の意見をはっきり伝えるときは、親・恋人・友達が嫌悪感を示したり、不機嫌になったりするのに、
できない行動や依存的な行動をとると、嬉しそうにされるとこういった禁止令が強く発動されてしまいます。
依存心のある、できない自分でいた方が可愛がられると思い込んでしまうこともあります。
子どもは自立することができなくなり、親子でお互い依存的な関係になっているケースが多いです。また、成長して大人になったときに、一人では何もできない、決められない人間になってしまいます。
3.禁止令に気づくことが大切な理由
上記の禁止令のうち、自分に思い当たることがあったり、合致していることがあっても落ち込まないようにしてください。
むしろ、今まで自分を苦しめていた得体の知れない呪いの正体が分かったから、ラッキーくらいに考えてみましょう。
辛い思いや歯がゆい思いをしてきたと思いますが、これからは自分で自分の禁止令をそぎ落としていくために、考え方や行動の癖を変えていくのです。
今回は、3つの禁止令を紹介しましたが、自分にしかない禁止令もたくさんあるかもしれません。もし、違和感を感じたりおかしいと思ったことがある場合は、自分で原因を探ってみることもおすすめします。
また、禁止令に当てはまっている場合、自己肯定感が低くなっている場合もとても多くみられます。
自己肯定感を高める方法については以下の記事をご覧ください。
皆様、こんにちわ!臨床心理カウンセラーのNOAです。今回は自己肯定感についてお話したいと思います。 自己肯定感が低いと、自信がない、自分にはできないと思ってしまう、成功できないって妄想してしまう、他人の機嫌ばかり伺ってしまう・・・など[…]
それに気づき、改善していくことで人生も仕事に対する考え方も変わるだけでなく、自分が変わることで周りもどんどん変わっていきます。
参考書籍
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